大阪高等裁判所 昭和41年(ネ)113号 判決
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〔判決理由〕次に前認定の事実によれば、本件事故は、控訴人松下が自宅の台風による被害状況調査の目的を以て自己が使用権限を有する本件自動車を控訴人小堀に運転させ、その運行中に発生したものであるから、訴控訴人松下は自己のために自動車を運行の用に供していた者として自動車損害賠償法第三条により被控訴人に対し本件事故による身体傷害に因つて生じた損害を賠償すべき責がある(前示のとおり本件事故の発生につき運転者たる控訴人小堀の過失が存する以上同条所定の免責事由は存しない)。もつとも被控訴人は本件事故につき控訴人松下は控訴人小堀の使用者として損害賠償義務がある旨主張しているけれども、民法第七一五条と自賠法第三条とはその適用の要件を異にするが、同一事実関係に基く前者による請求権と後者による請求権とは、二個の請求権が実質上の競合関係にあるものではなく、一個の不法行為上の損害賠償請求権である。従つて当事者の主張する事実関係の下において、右いづれかの規定によつて損害賠償請求権の成立が是認し得る場合においては、当事者が特に一方の規定による請求のみ認定し、他方の規定による請求をしない意思を表明している場合のほか、裁判所は当事者の法律上の見解に拘束せられることなく、いづれかの規定を適用して裁判しても差支ないものと解する。本件の場合、被控訴人主張の事実関係下においては、自賠法第三条の規定による損害賠償請求権の成立が容易に是認し得るところ、被控訴人において特に同法条の適用を排除し、民法上の使用者責任の規定にのみ限定して本件請求をなしているものとは解せられないから、控訴人松下に右自賠法の規定による損害賠償責任ありと認定しても弁論主義に反するものではない。(岡垣久晃・奥村正策・畑郁夫)